大阪?関西万博でチェコ語劇を上演

2025.06.03

2025年5月3日(土)及び翌4日(日)に大阪関西万博のチェコ共和国パビリオンにおいて、本学のチェコ語専攻の学生が、昨年の外語祭で上演したヴァーツラフ?ハヴェルの戯曲「Audience(謁見)」を上演しました。参加学生7名の感想をお届けします。

山﨑成海さん(役者?醸造長役)

「クラスで頑張る」という経験は高校で終わったものかと思っていましたが、それが大学で、それも演劇という形で味わえるとは想像しませんでした。ましてそれが万博という大舞台でしたからこれ以上ない経験でしたし、人生であれほど緑茶を飲んだこともありません。
今回は万博での上演で、たまたま立ち寄ったチェコに関心のないお客様もいらっしゃったかと思います。そういった方々がチェコの文化に触れるきっかけになれたことが、外大チェコ語科の学生として何よりも嬉しいです。
台本や演出を手掛けながら主演までも務め上げた石川はじめ、「劇団員」のメンバーには、私の最大限の感謝と尊敬を表したいと思います。Audienceは間違いなく私の青春の一端でした。本当にありがとうございました。

澤田聖乃さん(広報、役者?解説パート)

このたび、私たちが外語祭で上演した語劇を、大使館、そして万博という夢のような舞台で披露させていただく機会に恵まれましたこと、誠に光栄に存じます。多くの方々のご支援とご縁により、このような貴重な経験をさせていただきました。約一年前の私たちには想像もできなかったこの経験は、かけがえのない思い出となりました。
当日は、会場を埋め尽くすほど多くのお客様にご来場いただけたこと、心より嬉しく思っております。私たちの公演を通して、チェコの文化や歴史、そしてこの作品が現代社会に投げかける問いを、観客の皆様と分かち合うことができたのではないかと感じております。日本から遠く約8600km離れたヨーロッパの小国 チェコの魅力が、一人でも多くの方々に届いていれば、これ以上の喜びはありません。
最後になりますが、本公演の実現にあたり、ご指導くださった先生方をはじめ、多大なるご協力を賜りましたすべての皆様に、心より御礼申し上げます。

水野季瑚さん(役者?解説パート)

このたび、語劇「Audience」を通じて、外語祭、大使館での講演、そして万博での講演という貴重な機会をいただきました。このような経験ができるとは夢にも思わず、心より感謝申し上げます。先生方をはじめ、関係者の皆様の多大なるご支援のもと、無事に万博での講演を終えることができました。誠にありがとうございました。
講演を通じてチェコ語で演技を行い、観客の皆様が笑いや感動を示してくださる様子を間近で拝見し、「劇の力」を強く感じるとともに、チェコという国の文化を広めることができたことを実感し、大変嬉しく思っております。
語劇に取り組むことは、自らがその国の言語や文化についての理解を深めると同時に、それを広めることができるということ。それは非常に意義深い活動であることを再認識いたしました。
最後に、これまで共に努力し、助け合ってきたチェコ語科のクラスメイトへ向けて、みんな本当にありがとう、尊敬しています、最高です!

寳田結貴さん(副代表、字幕)

チェコ語を学んでいると、チェコの社会や文化についても知ることが多くあります。今回、万博という場で劇を披露できたことは、私達がチェコについて発信できる貴重な機会になったと思います。
『Audience』という劇にはチェコ人のユーモアが表れていて、初めて見るときには内容の理解が難しい部分もあると思います。ただ、劇を見たときに、一度で内容を理解できなくても、例えば劇中にビールを何回も飲む場面が出てくるのが面白い、というように面白いと思える場面があるだけでも十分かもしれません。今回の万博での公演でも多くのお客さんが劇中で笑ってくれました。万博での公演だからこそ、より多くの人に劇を観ていただけるきっかけとなりました。本当にありがとうございました。

稲森果歩さん(照明)

まさか万博で公演することになるとは夢にも思わず、このような貴重な経験をさせていただいたことを非常にありがたく思っています。一般の方だけでなく、パビリオンスタッフの方々も熱心に鑑賞してくださり、非常に嬉しかったです。また、今回の公演にあたり多くの方々が関わって下さり、それについてもありがたいことだと思いました。

武原綺音さん(音響)

今回、万博で行われたチェコ語の語劇において、音響を担当させていただきました。演者ではなく裏方として舞台に関わるのは初めての経験であり、非常に多くのことを学ぶことができました。
国際的なイベントである万博の舞台で公演するのは不安でしたが、タイミングなどの確認をしっかり行うことで、自信を持って音を流すことができました。音響の仕事は目立たない存在かもしれませんが、場面の雰囲気づくりに大きく関わる重要な役割だと感じました。
裏方として支え、舞台全体の成功につなげることができたことがとても嬉しかったです。チェコ語科のみんなで力を合わせ、最高の舞台を公演できたことは、私にとってかけがえのない思い出になりました。

石川晴さん(代表、舞台監督、役者?ヴァニエク)

外語祭での公演が大使館公演へ、そして今回、万博へと繋がっていったことが素直に嬉しいです。語劇という外語大の中でも長い歴史を持つ催しが私たちを大きな舞台へと運んでくれたことに、本校の歴史を繋いでくれた多くの人、今それを引き継いでいる学友や先生方の営みへの感謝を禁じ得ません。また、その歩みの一端でも担うことが出来たのではないかと思うと、おこがましくはありますが、誇りさえ感じます。
脚本決めから数えるとおよそ1年間、この『Audience』と言う戯曲と作者ヴァーツラフ?ハヴェルと向き合ってきました。チェコ語科の仲間や先輩、先生方に助けられながら舞台を完成させてゆく過程は大変でしたが、誰かと共同することの本質的な楽しさを伴った素晴らしい体験でした。確かな実態を持つものをこの世界に引き渡すかのように創造的な現在進行形の作業でありながら、同時に作品の書かれた時代や作者ハヴェルと向き合うという過去への振り返りなしでは不可能なものであったことも言わねばなりません。過去の、それも外国の戯曲が現代の日本に語りかける声に耳を澄ますことは、これもまた、簡単なことではありませんでした。何度も迷い、戯曲やハヴェルの他の著書を読み込み、先生や友人たちと議論し可能な限り、誠実な眼差しを過去へ向けるように努めました。舞台そして私たちを通して、時代とハヴェルが放ったことばが、観客にそして世界へ届いていたらと願うばかりです。
最後に共にこの戯曲を舞台へ昇華させてくれた、とりわけチェコ語科の仲間に、心から感謝したいと思います。これから留学へ旅立つ仲間、就職活動に向かう仲間、それぞれの道を歩み始めますが、この1年間、私たちはひとつの作品を共に生きました。その否定しがたい事実こそが、演劇の魔法の証明なのだと思います。
出会うはずもなかった過去の記憶に触れ、もう会うことのないかもしれない多くの人々と、それを共有したこと。その体験が、劇が終わった後も私たちの生活に地続きで問いを投げかけ続けていてくれたらいいなと思います。そして、いつか別の場所で再び実を結んでいたら、私はとても嬉しいです。

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